雨の前日に、体が重くなる人へ。
アラームの音は聞こえているのに、布団のなかで天井をじっと見ている。
カーテンの隙間からのぞく空は、いつもより低くて、ぼんやり灰色をしている。
ああ、今日は雨が来るな、と思った瞬間、自分の体の重さの理由が、なんとなく分かったような気がしました。
01「気のせい」「気合いが足りない」では、ありません
雨が降る前日、頭がズキズキする。台風が近づくと、めまいがする。古い傷が痛む。耳の奥に違和感がある。
こうした不調を、誰かに話しても「天気のせいにしないで」「気合いが足りないんじゃない?」と返されたことが、もしかしたらあるかもしれません。
でも、これは気のせいでも、気合い不足でもありません。体のなかで、ちゃんとした物理現象が起きているだけです。
02体は、思っているよりも「水」でできています
大人の体は、およそ60%が水です。子どもなら70%。私たちは、想像以上に「水を抱えた生き物」として暮らしています。
東洋医学では、この水の流れがうまくいかなくなって、体のあちこちに余分な水分が溜まった状態を「水毒(すいどく)」と呼びます。
むくみ、めまい、頭痛、胃のチャプチャプ感、雨の日のだるさ。これらはすべて、体のなかで水が「とどこおっている」サインだと、何千年も前から東洋医学では捉えられてきました。
03気圧が下がるとき、体のなかで起きていること
気圧が下がる、ということは、私たちの体を外から押している大気の圧力が弱まる、ということです。
外からの圧力が弱まると、相対的に、体の内側のほうが押し返す力が強くなります。すると、細胞のなかの水分が、ほんの少しふくらみます。
普段から体に余分な水を抱えていない人は、このふくらみくらいでは何も起きません。でも、すでに水を抱えてパンパンになっている人の場合、このわずかなふくらみが、決定的な引き金になります。
特にダメージが出やすいのが、脳と耳です。脳のなかの血管がふくらんで、まわりの神経を押せば、ズキズキとした頭痛になります。耳の奥にある、体の傾きを感じるセンサーがむくむと、めまいや耳鳴りが出ます。
低気圧の日に不調が出るかどうかは、その日の天気ではなく「普段から体にどれだけ水を抱えているか」が大きいと考えられています。気象は引き金にすぎません。
04水を出すポンプが、サビついていませんか
もう少しだけ、体のなかで何が起きているかをお話しします。
私たちの細胞には、余分なナトリウム(塩分の素)と水を、外に汲み出すためのポンプが備わっています。「ナトリウムカリウムポンプ」と呼ばれる、とても精密な仕組みです。
このポンプを動かすのに、エネルギー(ATP)と、その点火剤となるマグネシウムが必要になります。
つまり——
マグネシウムが足りない人。鉄やビタミンB群が足りなくてエネルギーをうまく作れない人。こういう人は、ポンプが動きが鈍ってしまい、水を外に出す力が弱くなります。だから、いつも体に余分な水を抱えがちになるのです。
そこへ低気圧が来ると、ふくらみを処理できず、頭痛やめまいとして出てくる。これが、気象病・天気痛のメカニズムです。
あなたの体は今、
「水を出したがっている」のでしょうか。
それとも「水を必要としている」のでしょうか。
05水の流れを整える、3つの漢方
食事や生活の工夫で根本から整えていくのが土台ですが、つらいときの選択肢として、漢方があります。気になる方は、必ず漢方薬局や、漢方に詳しい医師にご相談ください。
五苓散
低気圧の日の頭痛・めまい・吐き気・むくみで、まず名前があがることが多い漢方薬です。単に水を体の外に出すというより、体内の水分の「ある場所」を整えてくれる、と考えられています。頭痛・めまいが出やすい日に頼りにされる方もいらっしゃいます。
苓桂朮甘湯
立ちくらみ、動悸、ふらつき、目の前が暗くなる感じ。胃のあたりに水が溜まっていて、それが上にのぼってきてめまいを起こしているタイプの方に向くとされる漢方薬です。「ふわっとくる感じ」のめまいに合うことがあります。
半夏白朮天麻湯
もともと胃腸が弱く、冷えやすく、頭痛やめまいが慢性的に続く方に合うとされる漢方薬です。胃の水はけを整えながら、頭にのぼった重さをそっと下げてくれる、と考えられています。
※どれが合うかは、体質や症状によって変わります。「めまい」だから一律にこれ、というわけではないので、ご自身では決めずに専門家のご相談をおすすめします。
06食卓でできる、ささやかな水抜き習慣
水はけを助けてくれる食材
- あずき(小豆茶もOK)
- はと麦(はと麦茶として日常に取り入れやすい)
- きゅうり・とうがん・冬瓜
- すいか(夏の救世主)
- とうもろこしのひげ(ひげ茶)
ウリの仲間や豆類は、昔から「体の水はけを助ける食材」として親しまれてきました。梅雨や台風シーズンには、意識的に食卓に呼んであげてください。
もうひとつ。糖質と、上手につきあう
あまり知られていないのですが、糖質を体に貯めるとき、体は同時にたくさんの水も抱え込みます。具体的には、糖質1グラムにつき、およそ3グラムの水。
つまり、甘いものや炭水化物を摂りすぎる日が続くと、体は内側からスポンジのように水を含んでしまうのです。
「雨の予報の日は、いつもよりちょっとだけ糖質を控える」。それだけで、ずいぶん体の重さが変わってくることがあります。
07天気予報と、仲良くなれる体に
雨の日は体調が悪い。それを「仕方ない」と諦めなくていいのです。
低気圧不調は、体のなかの水の流れが乱れているサインとも考えられています。そして、水の流れを整えるのは、決して特別なことではありません。
マグネシウムを意識する。ウリの仲間を食卓に呼ぶ。糖質と上手につきあう。そして、つらいときには漢方の手も借りる。
こういう小さな選択を、毎日少しずつ重ねていくと、天気予報を見てびくびくする生活から、少しずつ離れやすくなります。
雨の日に、傘をさして散歩できる体。
それは、案外、自分の手で整えていけるものです。
そう思うと、空模様も少しだけやさしく見えてきます。
もう少し深く、自分の体の声を聴いてみたい方へ
自律神経の波や、季節ごとのエネルギーのゆらぎ。
そんな「自分のなかで起きていること」を、8週間かけてやさしく見つめなおすプログラムをご用意しています。
気になった方は、のぞいてみてくださいね。
分子栄養カウンセラー / ステラライフ Health Compass

